イケメン医師は今日も新妻が可愛くて仕方ない
「はい、終わりましたよ。ここ、少しの間押さえて止血しといてくださいね」
そうニコッと笑って伝えたら、ちょっと呆気にとられた顔をしている。
「え?もう終わったの?全然痛くなかったけど?!」
次にびっくりしたらしく、飛び出した言葉に私はニッコリ笑いかけて言った。
「ふふ、痛くしないコツもあるのよ!今日はラッキーだったわね。それじゃあ診察の予約時間までは、ゆっくりしていてくださいね」
そう声をかけてカートを押し出したところで、後ろから声をかけられる。
「大石さん。あの、あのあの……」
なにか話したそうなその姿に、まだ仕事がある私は空きそうな時間を頭に浮かべてから声をかけた。
「お昼過ぎのおやつより前の時間に、また来るわ。その時に聞くわね」
そう伝えると、彼女はホッとした顔をして返事をくれた。
「はい、ありがとうございます」
そう頭を下げる彼女を見て、修羅場にはならなさそうで少しホッとしつつ、私は話す時間を捻出すべく仕事に戻った。
――― ――― ――― ――― ―――
15時前、約束していたので彼女の病室を訪れると中から賑やかな声がしている。
出直した方がいいかしらと思いつつ、手に持ってきたスイーツはやや多め。
人がいる時の方が無くなりやすいだろう。
「これだけ置いて、一旦戻りましょうかね」
そう決めると部屋のドアをノックする。
「はい!どうぞ!」