呆れるくらいに君が恋しい。

羽矢 叶果ver

『恋は一瞬で落ちる。』
そう、どこかで聞いたことがある。

「えーとー、砂糖をー」
「馬鹿ねー、あんた。それ塩よ。」
手に持ってた白い粉が入った容器を
横から取り上げられる。
「あ、そか。」

この前終わったバレンタイン。
友チョコという名のお菓子をもらった私は
女子力の欠片もない。
だから当然お菓子も用意してなく、、
「ホワイトデー期待してるね」という
友達の言葉に頷くしかなかったのである。

そんな経緯で、
ただいま私の家でお菓子作りの最中。
ちなみに今、
横でお菓子作りを手伝ってくれてるのは
料理が得意で、私よりも断然
女子力が高いであろう友達。
女口調だけれども、歴とした男だ。
何て言うんだろう。
世間では『おネエ』って呼ばれる人かな?
昔から優しい彼は、
女友達みたいだと勝手に思ってる。

クッキー生地を型でくり貫いて
「えー、次はオーブンを、熱っ!!」
レシピ本を見ながらオーブンを触ったら
思いの外、熱かった。
「ちょ、早く冷やせ馬鹿。」
君の珍しく焦った顔。
『馬鹿ねー、あんた。』なんて
いつものように言われると思ったのに。
急に力強い手で引っ張られ
水道に連れてかれる。
後ろから袖を捲られて、
水で冷やされた。
「これなら、痕残らねぇな。」
ホッと吐いた息が私の耳にかかる。
「火傷したらどーすんだよ。」
そのまま耳元で男口調で言われて、
少しドキッとした。
「んー、どーしよ。
 優が嫁に貰ってくれる?笑」
冗談で言ったのに、、
「お前が望むなら。
 一生俺の側で可愛がってやるよ。」
後ろにいるから
どんな顔で言ってるか分からない。
それでも、

「…それはずるい。」
恋に落ちる他無いから。
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