呆れるくらいに君が恋しい。

雨戸 優ver

「…それはずるい。」
「何が?」
そう返した質問はスルーされた。
何がずるいだよ。お前がずるいよ阿呆。
そう思ってるのを君は知らない。
目の前には、髪をポニーテールにした君。
白いうなじが、俺を誘うように赤く染まってて
どうしようもなく噛みつきたくなる。
君は俺の男口調に弱い。
それには前から気づいてた。
普段は意識も何もしないくせに
不意に男口調になると
今さら気づいたかのように狼狽える。
遅ぇんだよ、ばあーか。
姉の影響でこんな口調になってしまった。
そのせいで好きな女に
男として意識してもらえることもできない。
君の家にも簡単に招き入れられるし、
ましてや、料理を教えるざま。
基本的に女友達のノリだ。
──「お前が望むなら。
 一生俺の側で可愛がってやるよ。」
嘘じゃねぇよ。
本気で思ってる。
──「お前が望むなら」
今すぐにでも、俺のものにしてやるのに。
なあ、早く俺の想いに気づけよ。
俺だけ見ろよ。
俺の彼女になれよ。
そう思ってるのを君は知らない。
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