クールな公爵様のゆゆしき恋情2

私が視察するのはリードルフの街で一番大きく歴史のある、リンブルグ孤児院だ。

私が自分から希望して予定に入れた視察先。

ベルハイム王国では、孤児院の援助は主に女性が行っている。

これは元々政治で忙しい男性の手が回らないことから出来た風習のようで、アンテスでも当然のようにお母様が管理されていた。

だから私もリードルフの街の始めての訪問先は、孤児院に決めたのだ。

街の東側に位置するリンブルグ孤児院には、0歳から十五歳迄の孤児達五十人と、シスターをはじめとした世話役が暮らしている。


殆どの子供達は生まれた直後に、育てることが出来ない親に連れられて来られた子供達。

物心ついてから預けられた子供は、ほんの数人とのこと。

そういう子達は、なかなか環境に慣れる事が出来なくて、孤立しがちだそうで、世話役のシスター達の悩みの一つだという。



と、ここまでは私がフェルザー領で勉強して来た、リンフルグ孤児院に関する知識。


そして、実際目の当たりにしたリンブルグ孤児院は、事前知識とは全く違っていた。


私は唖然として、朽ち落ちた屋敷と、まるで病人のようにぐったりと項垂れる子供達を見つめていた。
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