クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「分りました。ですがこれから外出する予定ですので、手短にお願いしますね」

私の返事が気二入らなかったのか、向かいのソファーに腰をかけたヘルミーネ様は顔を曇らせる。

「……お忙しいところ申し訳御座いません。本日はリンブルグ孤児院の件についてお話が有ってまいりました」

「どのような事ですか?」

「ラウラ様はここ数日熱心にリンブルグ孤児院に通っていらっしゃるようですが、そろそろ後容赦頂きたいと、現地のハルトマンより私に相談がありました。ラウラ様は何時まであの孤児院に通うおつもりですか?」

ヘルミーネ様はうんざりした様子で言う。
ハルトマン院長から要望で私に話しをしに来たけれど、本来は関わりたくないのだろう。

彼女の中では孤児院の問題はとても優先順位が低く、どうでも良いこと。

アレクセイ様と共に対応している、鉱山の問題こそが重要なのだから。私の行動に苛立っているはずだ。

そう察したけれど、私は自分が正しいと思うことをすると決めたのだ。誰かの顔色を窺って立ち止まることはしないと。

だから私はヘルミーネ様に胸を張って告げた。

「子供達が安心出来る暮らしを取り戻すまで通います。フェルザー城に戻った後も信頼出来る者に後を継がせるつもりです」

全く手を引くつもりがない私に驚いたのか、ヘルミーネ様が瞳を見開く。それから眉間にシワを寄せた怒り顔で声を荒げた。

「そこまで干渉なさるのですか? 以前も申し上げましたが、ラウラ様の行動で我々リードルフの者は混乱をきたします。自己満足で我々をこれ以上振り回すのはお止めいただけませんか?」

今まではここまで言われると怯んでしまっていた。

だけど、ここで負けたら、今までやって来たことが無駄になってしまう。

「私がリンブルグ孤児院の改善をしようとしているのは、ヘルミーネ様をはじめとしたヒルト家の方達が何もしないからです。もし子供達が問題なく暮らしていたのなら私は余計な口出しはしませんでした」

「私の責任だと? 以前も申しましたがリンブルグ孤児院に問題は御座いません。全てラウラ様の思い込みです。公爵夫人として気負い過ぎて空回りしているようにしか見えません」

ヘルミーネ様は口を歪めた笑い顔になる。
私のことが不満で仕方ないのだろう。
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