元社長令嬢は御曹司の家政婦

・ワガママな元社長令嬢にクールな御曹司

それから二ヶ月が過ぎ、季節はすっかり秋になった。

例の件で、秋人も一時は重要なポストを外されたりはしていたけど、特に次期社長の座を失ったり会社を追われたりということは結局なかった。





「結局、最初から秋人を次期社長候補から外すつもりはなかったのね」

「おおかた、俺のあわてる顔でも見たくて、兄が勝手に言い出したことだろう。いかにもあの兄がやりそうなことだ」
 

初めて二人で秋人の実家に行った帰り、車を運転している秋人に話しかけると、秋人は小さくため息をついた。


この二ヶ月、取引先の信頼を取り戻すために毎日のように頭を下げに行ったり、仕事の面でも精神的にもとにかく秋人はつらそうだったけど、ようやく落ち着いたらしく。

その件の報告と婚約の報告も兼ねて行くと、「別に最初から秋人を次期社長から外すつもりは全くなかった」と秋人の父はあっさりと言った。


「なんだか振り回されたような気もしたけど、でも結果的には良かったわね。本当に、この二ヶ月おつかれさま」

「そうだな。
美妃も献身的に支えてくれてありがとう」


献身的に、と言われるほどのことではないんだけど。

精神的にも肉体的にもつらそうな秋人に少しでも栄養をつけてもらおうと、料理の勉強を始めた。ネットで見ただけだし、そこまで上達したわけでもないけど、あの美妃が料理の勉強をするなんてな、と秋人は驚いてたわね。
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