クールアンドドライ
メガネの効果
 あ、少しムカついてる?
でも、メガネを触って無表情を貼り付けた。
どっちにしても、パソコンの画面を見る時はかけるんだし。
そんな事を思いながら、営業資料を作っている。
三課の営業さんは個人でやっているせいか、営業事務に頼むのは、よほど面倒くさい資料作りか、出張関係くらいで、後は自分でやる人が多い。中には忙しいからと、頼む人もいるけど。
まぁ、何が言いたいかと言うと、作り慣れてない。
 試行錯誤を繰り返し完成した。
でも、自信はない。
誰かに見てもらおう!と思い辺りを見回した。
おっ、同期入社だけど二才年上の吉沢さんを発見。
 吉沢さんは、前に課長の事で励ましてくれた男だ。
「吉沢さん、ちょっとすみません。ここの計算って、こんな感じでいいんですか?」
と、聞いてみると、彼は「うーん、課長に聞いたら?」と、丸投げした。
 うわー、こいつこんな奴だったか?
だから、彼女が出来ねーんだよ。
と、心の中で悪口を言い、ふと吉沢(呼び捨て決定だ、こんな奴)から課長のいる方を見た。
バチっと目が合った。
ああ、メガネかけとけば良かった。
そんな事を思いながら、課長の元へ向かった。

 「あのー、提案書なんですが・・」
「ああ、分かってる。」
さらさらと、ボールペンで修正などを書き足している。
「この他にも、似た機種で何種類か、作ってから行けよ。」
と言われ、おもわず、へ?と間抜けな顔をさらしてしまった。
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