クールな御曹司の蜜愛ジェラシー
息詰まって、行き詰まって
 春休みを目前に控えた二月末、ゼミは二回生で入れ替わりとなるので、今のゼミのメンバーで記念にボーリングに行くことになった。

 私は参加するつもりはなかったのに、一馬に強く参加するように言われ渋々出席する。正直、あまり気乗りはしなかったけれど、これも思い出作りだ。

 寒空の下、集合場所であるボーリング場の玄関前に足を運ぶと、そこには幹弥の姿もあって正直、驚いた。あまりこういうのに参加するようにも思えなかったから。

 けれど、それは私が彼の裏の顔を知っているから、そう思うだけなんだろうか。

 今日の彼は、ストライプ柄のシャツにチェスターコートを羽織って、シンプルにまとめている。

 その隣には山下さんがいて、白のトップスに花柄模様のブルーのスカートの組み合わせは可愛らしく、羽織ってるAラインのコートは春を先取りしたような鮮やかなピンクで彼女によく似合っていた。

 勝手に痛む胸を押さえて、私は親しそうにしているふたりから視線をはずす。対する私はシャギー素材の淡い紫色のゆったりとしたニットにジーンズという無難なものだ。

 一馬に話しかけられたので、会話に意識を集中させることにする。

 とりあえずメンバーがそろったので、グループワークで一緒だったメンバーごとに分かれ、スコアを競い合うことになった。

 参加者をぐるっと見渡せば、思った以上の出席率だ。ほかのゼミに比べると課題が多く、厳しかったけれど、その分ゼミ生同士の仲は深まったと思う。

 後期試験を無事に終えたこともあり、みんなはしゃいでいた。
< 64 / 129 >

この作品をシェア

pagetop