琥珀の奇蹟-WOMEN-
柚希②

駅前の広場は、平日だというのに、待ち合わせの人でごった返し、その間をすり抜けるように、駅の構内に入った。

『クリスマスケーキは、いかがですかぁ?』

改札口の手前では、有名な洋菓子店の店外販売が目を引き、その声にそちらを振り向けば、大小様々な大きさのクリスマスケーキが並んでいて、家路を急ぐ人々の足を止める。

大きなケーキは家族で食べるのだろうか、お父さん世代がこぞって購入し、小さめのケーキは、OLさんや若い男性が並んでいる様子。

可愛らしいサンタの恰好をした店員が、忙しそうに対応に追われていた。

私も、ほんの少しくらいクリスマス気分でも味わおうかな…と迷うも、結局そのまま改札口の中へ入ってしまう。

やはり小さめのケーキと言っても、大きさはそこそこありそうだし、一人で食べるのには大きすぎる。それなら、コンビニのケーキでも充分そうだ。

階段を上り、プラットホームに立つと、タイミングよく入ってきた、電車に乗り込む。

いつもは乗らない各駅停車で、自分の降りる駅までは通常の倍かかるけれど、今日は急いで帰る必要もなく、のんびり帰ることにした。
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