ロング・バケーション
彼の本気に戸惑っちゃう!
連休明けの火曜日の朝、私は不貞腐れながら経管患者用の注射器を洗っていた。

年末年始に引き続き、この三連休もずっと仕事だった。

城島ドクターは初日こそ当番医を替わって出勤していたが、残りの二日は用事があるから…と言い、連絡も何もしてこないで日が過ぎていた。



(確か真面目に付き合うって言ってたよね!?)


ラインもナシというのはどういうことだ、と少し怒り気味な状態だった。
ガチャガチャと荒っぽく注射器を洗っていたら、コンコンと医務室のドアがノックされた。



「おはよう」


清々しい声で挨拶をしながら入って来るのは城島ドクター。
振り向いた私を見つけると嬉しそうに近付いて来て、いきなりぎゅっと抱き締めた。



「久し振り。凛さん」


いきなりな行動に驚き、ひゃっ!と叫ぶ。
城島ドクターは苦笑しながら腕の力を緩め、面白いな…と笑った。


「やめて下さい。揶揄うの」


子供じゃないんだから…と断る。


「職場で抱き付くのは勘弁して下さい。誰かに見られても困ります」


「どうして。いいじゃないか、付き合ってるんだし」


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