溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
エピローグ
(あ~こっちのお店もなかったかぁ~。意外とないもんなんだなぁ。やっぱりハロウィンの時期まで待つべきか。だったら・・)

 会社からの帰り、銀座の百貨店に寄って目的のものを探したものの気に入ったものはなく、あきらめることにした。そのままエレベーターで地下へ降りて食料品売り場にやって来た。真っ直ぐ生鮮食品コーナーに向かう。そこで見つけた商品を手に取ってレジで精算し、家に帰ってきた。

 エレベーターに乗り込むとピコンとスマートフォンが音を発した。

(あ、マリさん)

 マリからは定期的にメールが送られてくる。最初の五日間は京都だそうだ。自撮りで金閣寺と一緒に写っているものだった。

 そうこうしているうちにエレベーターが止まったので、急いで部屋に行き、内容を確認する。

『つばき、きょうとさいこー。こんど、いっしょにいこう!』

(まだ始まったばかりなのに。これから二週間、毎日この調子? わー、勘弁)

 そんなことを思ってはみるものの、微笑ましい。それに親しくメールを送ってくれることがまたうれしい。

 椿はスマートフォンをダイニングのテーブルに置くと、デパ地下で買った弁当を広げた。

「っと、その前に」

 レジ袋から商品を取り出してリビングに置いているチェストの前にやってくる。空のケースの蓋をあけ、そこに手にしているものをそっと置いた。

「ふふ・・ふふふ・・ふふふふふ・・面白い。本命と出会えるまでの間、ここで頑張ってね」

 つぶやいて蓋を閉めた。
< 185 / 186 >

この作品をシェア

pagetop