溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
第2章 その出会いは必然
 起きたら七時だった。まだ少し早い。もう少し横になっていたい。八時くらいまで? そんなふうに思っていると昨日のことが蘇ってきた。

 自分のミスは事なきを得たが、判断が甘かった。山瀬がいなくなった途端のことでますますへこむ。致命的なミスとまでは言わないものの、このままやっていけるのか不安が増す。

 二度のミスを救ってくれたのは、本来椿がサポートして円滑に事を勧めねばならない相手、真壁本人だ。それを思うと気持ちはどよ~となる一方で、なんだか妙に心がざわめく。

(真壁社長・・)

 入社式の時、出席していた女性スタッフたちから熱いため息がもれていた。いかに人気なんかがよく伝わってきたものだ。

 創業者の家系で現ホールディングスのトップの息子。見栄えもあり裏打ちされた実績もあって将来を嘱望されている。単純に素敵な人だなと思っただけだが、二週間傍にいて彼の人柄と仕事ぶりに納得と共感を持ったのは事実。だが、今、胸を占めるのは、それらとはまた少し違う思い――

 顔を思い浮かべると急に鼓動が速まって、なんだか胸が締めつけられるような感じがする。

(叱られたんだから反省しないといけないのに・・)

 ドキドキドキと心臓が鼓動を打つのを感じながら椿は目を閉じた。真壁の笑顔を思うと幸せな気持ちになってくる。ふわふわとした感じ。その心地よさが安堵を呼び、椿はまた浅い眠りに落ちた。そして再び目が覚めた時には、時計は九時を過ぎていた。

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