溺愛同棲~イケメン社長に一途に愛される毎日です~
第3章 王子さまにはプリンセスがいて・・
 簡素なキッチンがいきなり賑やかになった。ほとんどなにも置かれていず、引き出しもがらんとしたものだったのに、たった一日で調味料や調理道具が揃ってずいぶん家庭的になった。

 コーヒーメーカーが芳しい香りを立てている。ジュウっというものが焼ける音がして、そこにチンとトースターが鳴った。

「できました」

「うん」

 椿がカウンターに皿を置き、それを真壁が手に取ってテーブルに並べる。オムレツとベーコン、コールスローサラダが盛られた皿と、こんがり焼けた厚切りトースト、そこにコーヒー。これらを真壁は満足そうに眺めている。

 二人が揃って「いただきます」と言うと、すぐに真壁が顔を上げた。

「すごくおいしいよ!」

「ありがとうございます。でも、卵とベーコンを焼いただけだから大袈裟です」

「いや、オムレツは難しいっていうじゃないか。このオムレツ、すごくコクがあるね」

「チーズが入っているからだと思います」

「あ、なるほど」

 真壁はパクパクと口に運び、あっという間にオムレツを食べてしまった。そんな姿を見て椿が目を丸くする。

「どうかした?」

「パンと一緒に食べないのかなと思って・・」

「え、あぁ、オムレツね。一緒でもいいけど、パンはパンだけで食べたくてね。なにもつけないのが好きなんだ。歯を立てたら、サクッと音がして弾力があるのがいい。バターやジャムをぬったらしなっとするだろ? それにパンの味がすっかり感じられるから」

「なるほど」

< 92 / 186 >

この作品をシェア

pagetop