一生僕をみてればいい。
タイトル未編集

私にぶつかってきたのは……?

高校1年の入学式、私、瀬戸内若葉は林城高校の普通科に入学した。私が言うのもなんだけど、林城高校は私の住んでいる県の中でもトップクラスの進学校だ。私は幼い頃からこの高校に入学して、恋をする。それが昔からの夢だった。

ジリジリジリジリッ!!!!!目覚まし時計が私を起こす。
「う〜ん…うるさいなぁ…」
そうしてベットから起き上がって窓を開けると、心地のよい風が私の部屋を駆け抜けた。
今日の私はいつもと違う。
だって今日から高校生だもん。
制服に手を伸ばし、春休み中に一生懸命練習したメイクをし、髪の毛を頭のてっぺんでおだんごにした。おだんごヘアは私にとってのトレードマークだ。バタバタと一階に降りると、お母さんが「ずいぶん早起きね!入学式、あとで行くからね!」とフライパンとフライ返しを持ってニコニコしながら言った。母は制服を着れば、私と同じ高校生に見間違われるほど童顔だ。そして、私も童顔だ。陸斗と紅葉はまだ寝ているらしい。「うん!ありがとう!」と笑顔で返した。
私には、お父さんがいない。お父さんは、私が中学2年の春頃、ガンで他界した。それからは母と弟の陸斗と妹の紅葉との4人暮しだ。
「じゃあ行ってくるね!」といって玄関を出た。ウキウキしながら道を歩いていると、後からドンと誰かから叩かれた。こんなことする人物は一人しかいない。
「若葉、おはよう!」
「梨花、相変わらず元気だね!」
そう、この子は早乙女梨花。私の幼なじみで親友だ。梨花は私のお姉ちゃんみたいな存在だ。今年、梨花とは同じ林城高校に入学出来ることになった。
「あっ!若葉なんかいつもと違うね!」
「分かった?頑張ってメイクしてみたの!」
「似合ってる!」
「ほんと!?ありがとう!そういう梨花もメイクしてるね!」
「一生懸命若葉と練習したもんね!」
そう言いながら、私たちは林城高校の校門をくぐった。
そして、私たちの靴箱に向かおうとした。すると…ドンッ!
誰かが私にぶつかってきた。
「いっ…!」
「ごめんね!大丈夫だった!?」
そう言われて、顔を上げると、ふわふわな栗色の髪を少し遊ばせ、きれいな二重と透き通るような白い肌、筋の通った鼻に血色のいい唇。いわば「王子様」が私の前に立っていた。
「あっ!はい!大丈夫です!」
「ほんとごめんね!」
「いえいえ!すみませんでした」
「なんで君が謝るの?僕がぶつかったのに」
「私も周りをよく見てなかったので、同罪です」
「君は優しいんだね」そう言うと王子様はフッと優しく笑った。
「いえ…!そんな」
「あっ…ごめんね、もう行かなきゃ」
「あっ!はい!すみませんでした」
「こちらこそ、ごめんね、それじゃあ」
そう言って彼は体育館の方へ走っていった。
彼が走っていった方をボーッと見ていると、「なに?若葉、あの人に惚れた?」とニヤニヤしながら聞いてきた。
「ち、ちがうってば!」と反論したけど、梨花は「そうかそうか〜。若葉もそんなお年頃か〜」と言ってる。今の梨花には何言っても聞かないだろう。私は梨花の後ろでため息をつきながらついて行った。
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