私に光を〜あなたを信じるために〜
混ざる思い
とうとう明日という日がきた。
今日は華奈が神宮寺 翔先輩に告白する日だ。
「どうしよう。ちょっとだけ翔君の代わりやって!」
「わかった」
華奈は朝からドキドキしているっぽい。放課後まで華奈の心臓がもつかな?ってくらい。
「いくよ?」
「おっけー」


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放課後


「前にお会いした時からずっと好きです。一目惚れから始まった恋だけど今では翔君の全てが好きです。こんなに男の人を恋しく思うことは初めてなんです。私は翔君と違って全てがブスでモテたりしないけど、翔君はみんなと何かが違っていて…惹かれたんです。もし良かったら私と付き合ってください」
華奈の思いが神宮寺先輩に伝わる。練習したときも私に華奈の思い全部が私の心の奥深くに伝わってきた。
大丈夫。きっと華奈なら…華奈なら…

ほろり…

私の頬にだんだんと温かいものが流れてくる。溢れ出す思い。
あぁ、初めてあったときの心の温かさも、あのズキンときた心の痛みも、あなたのことを考えてしまうこの頭も…全部…神宮寺 翔先輩へ向けての思いなんだ。これが恋なんだ。誰のこともちゃんと信じることが出来なくなっていた今まで…それでもあなたを信じたいと思う。この心がそう示してる。あなたのことが好きだって。
あ、あれもあなただったんだ。変わりすぎてわかんなかったよ。神宮寺 翔、あなたは私の初恋でした。ずっとずっと前から隠れていて見えなかった思いが見える。助けてもらってばかりだね。あなたのすべてを思い出す。

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私が3歳のとき…
遊園地でもらった風船を離してしまい、空へ行ってしまった風船を眺め、涙したときもあなたが風船をもらって私にくれたこと。それが初めての出会い。

私が4歳になったとき…
幼稚園で再開する。1つ上だったことは残念だったけど、同じ市であることを知って、よく分からないものの嬉しくなった。私が砂遊びをしていてシャベルを友達に取られてしまったとき、あなたが私にあなたのシャベルを貸してくれたこと。それが初恋。神宮寺 翔…翔…翔…翔君…って、ずっと心の中で叫んでいた。

とうとう7歳…
小学校へ入学。学校が同じでないことに気づく。悲しみにくれたけど、年を重ねるごとに薄れていく思い。あなたのしてくれたこと全てを心の奥深くにしまってしまったこと。

12歳になった…
私はいじめにあった。そして、どんどんいじめはエスカレートしていって…私は誰かに…そう誰かに押されて階段から落ちた。そう、それから…それからなんだ…誰も信じられなくなったのは…あのときも病院の中であなたの声が聞こえたんだ……目が覚めたときにはあなたはいなかったけど…

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

そして…今に至る。
この思いも全部蘇った。でも、今さら遅いか。華奈や他の人も翔君のことを好きだというのに本当に私ってバカだな。もう捨てなきゃね。隠し持つんじゃなくて…捨てるんだよ…この思いを…全部…



「夏織、振られちゃった…」
華奈がいつの間にか告白を終えて私の元へ戻ってきていた。
「そっか…」
「ていうかー、夏織、なんで泣いてんのよ!私はスッキリしたよ!ずっとこの思いを心に塞いでいたから…これできれいさっぱり諦められるよ」
「華奈はすごいなぁ…やっぱり好きだー」
「なに私に告白してくんのよ!夏織も好きな人できたら…」
「できたよ…」
私は華奈の言葉を遮って言っていた。さっきまで忘れなきゃ、諦めなきゃって思っていたことを…言葉はコントロールができなかった。
「え?誰誰ー?」
「内緒かなー」
へへって笑って誤魔化した。華奈はムスッとしていつか教えてねって言った。

そんなこんなで今日は終わった。
私は翔君のことが好きだということ、それもずっと前から…それを知った今日はなぜか私の世界に新しく色がついたようだった。
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