別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー

加奈 ―最後の幸せ―

――加奈――



週末、秋の車で牛丼屋さんに行って、ふたつテイクアウトして秋の部屋へ行った。

秋はビールを、私はウーロン茶をもらい、乾杯して夕食タイムだ。

牛丼に箸をつけ始める私を見て、秋はホッとしたようにため息を吐いてから、自分の割り箸を割った。

「薬飲んだらちょっとよくなったみたいだな」

「うん。もうなんともないよ」

「もっと早く病院に行けばいいのに」

「なんかめんどくさくて」

秋は怒るよりもとにかく安心のほうが大きいらしく、めんどくさい、なんて子供みたいな言い訳をする私にやさしく微笑んだ。

やっぱり市販の胃薬とは効き目が違うのか、胃痛はだいぶよくなった。

だけど、食欲があまりないのは相変わらずで、これに関しては精神的なものだろうからどうしようもない。

最後まで食べきることはできなかったけど、ずいぶん頑張って食べたほうだと思う。

胃が小さくなっているんだろうから仕方ないと、残りは秋が食べてくれた。


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