《クールな彼は欲しがり屋》
本日は、すき焼き日和になる模様です!

駅から家に帰る途中で、なんどかスマホを手にした。

かけようか、やめようか。

やっぱり、かけよう。
 

でも、予定が、ぎっしりつまってるって言ってた。

すき焼きは、キャンセルになったばかりだし。

それでも、スマホを見つめ私は決めた。

決意したのだ。

新しい恋を始めたい。

前に佐野さんに言われた言葉が私を後押ししてくれた。

タイミングが大事、だと。


履歴から沢田課長の番号を探して、電話をかけた。

数回呼び出し音がなり
「なんだ?」
と低い声が聞こえてきた。

改めて聞くと沢田課長の声は、私の身体に良く響く。

耳元が少しゾクッとする感じだ。

「あの、お忙しいところをすみません。春川です」
まるで、商品の問い合わせするみたいな言い出しだった。

「わかってるよ、名前が『慶子』って出てた」

「え、慶子って登録してるんですか?」

「悪いか」

「いえ、あの....」

「早く言えよ、俺はいろいろと忙しいんだ」
イライラした雰囲気が向こうから伝わって来ていた。

「はい、あの」
なんて言おうか、考えに考えを重ねた。

それで口に出した台詞。


「リベンジ....させてもらえませんか?」

やっと言えた。


沢田課長のまねみたいだが、仕方がない。他に良い台詞が思い付かなかったのだから。



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