イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
究極の二択
 


「は? 今、なんて言った?」

そう言って形のいい眉をひそめた幼馴染に、私は鼻の上の黒縁眼鏡を指で押し上げながらうつむく。

「えっと、だから、その……」

こんなことを何度も言わせないでほしい。
私だって、これがとんでもないお願いだってことはちゃんと自覚して、それでも恥を忍んで頼んでるんだから。

金曜の夜。仕事が終わるのを待って、私は幼馴染兼同僚の拓海がひとり暮らしをしているこのマンションにおしかけてきた。
ある、『お願い事』をするために。

「私の、はじめての相手になってくれませんか、って……」

おずおずと口を開くと、目の前にいる拓海がめんどくさそうに顔をしかめる。

「はぁ? はじめてってなんのだよ」

そんなの、言わなくたってなんとなく察してよ。
女の子がこんな恥じらった様子で『はじめての相手に』なんて言ったら、なんとなく想像がつくじゃない。



 
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