イジワル同期の独占欲に火をつけてしまいました
それぞれの思惑
 



「あの、スミレさん……」

にぎやかな社員食堂で、私は声をひそめて身を乗り出した。

「なぁに?」

快活なスミレさんの返事に、慌てて声のボリュームを落としてくださいとジェスチャーでお願いする。

「なになに、内緒話?」

楽しげにたずねられ、「そんなたいそうな話ではないんですが」と前置きをしてから口を開く。

「あの、スミレさんって、その、下着、とかどこで買ってるんですか……?」

勇気をだしたけれど、やっぱりなんだか恥ずかしくて『下着』の部分だけ極端に小声になる。

「下着って……、佳奈ちゃん……」

うつむいて自分の目の前にあるお豆腐のハンバーグと豚汁という今日のメニューを見下ろしていると、スミレさんの声のトーンが高くなっていく。

「もしかして、誰かに下着を見せるような予定があったりするの?」

その嬉しそうな口調に、スミレさんが大きな勘違いをしていることを悟って、慌てて顔を上げる。


 
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