「明日香、あれからどうなった?」

月曜日の朝、教室の自分の席に着くなり、クラスメイトで私の前の席に座る立花 優(たちばな ゆう)ちゃんが声を掛けてきた。

「あ、うん……」

優ちゃんは金曜日の合コンに参加した1人。
背が高くて、スタイルも良くて、可愛いより美人という言葉が似合う、お姉さん的存在だ。

「特には……」

ホテルに連れ込まれそうになった事と、それを神楽さんという男の人に助けて貰った事は言わずに、愛想笑いを浮かべる。

「そうなの?てっきりホテル行ったと思った」

「え?何?ホテル行ったの?誰が?」

私と優ちゃんの話を、通りがかったクラスメイトの植木 麻里(うえき まり)ちゃんが会話に参加してきた。

「実はね、金曜日に――」

優ちゃんは金曜日の合コンの話を麻里ちゃんに話し始めた。


「え、嘘?あたしだったら完全ホテル直行だったわ」

話を聞き終えた麻里ちゃんは、信じられないと言った表情を浮かべて私を見てきた。

「明日香が男苦手っていうのは知ってるけど、あんなイケメンと抜け出たのに……勿体無い」

「あはははは……」

優ちゃんの言うとおり、確かに、あの日、合コンを共に抜けた彼は格好良かった。

あんなことさえなければ、素敵な人だと思う。

「それより、優ちゃんはどうだったの?冴島さん……だっけ?」

「ああ、あれはダメ。何か期待してたのと違ったのよね」

「そうなの?」

「なんて言うか、ちょっとテンションが高すぎて疲れる」

「そ、そうなんだ」

優ちゃんは冴島さんという男の人に一目惚れして狙っていたのだけど、どうやらイメージと違ったらしい。

「とにかくあの合コンはハズレだったわ」

「そうなの?あたしも行きたかったけど、行かなくて正解だったかな~」

「うん、来なくて良かったと思うよ」

「あ、私、ちょっとお手洗いに行ってくるね」

何だか少し居心地が悪く感じた私は、優ちゃんと麻里ちゃんにそう告げ、教室を出てトイレへ向かう事に。

私が2人の元を離れ教室を出る時、2人が『明日香って本当、天然というか、何というか、ちょっと痛いよね』『本当。初心というか、ちょっとありえない』『あれは本当は演技で、実はヤリまくりだったりして』なんて言っているのが聞こえてしまった。


聞こえるように言ったんだっていうのが分かっていたから、そんなに傷付きはしなかった。


(……私、やっぱりおかしいのかな)


私は人見知りが激しく、人付き合いが下手。
おまけに女子高に通っている事もあって、男の人と関わるのが物凄く苦手。

勿論、恋愛経験もないから、この前みたいに合コンを抜け出してホテルへ……なんて流れ、予測も出来なかった。

(17歳にもなって、恋もまだとか、やっぱり変なのかな)

私が遅いのか、周りが早いのか分からないけれど、私の周りの子達はみんな一度は男性経験があって、そういった話をよく耳にする。

さっきの教室での出来事もそうだけど、学校は特に、私にとって、居づらい環境なのだ。

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