チェンジ! ~僕に恋して君を愛する~
入れ替わった「僕」と「俺」
頭を上げた僕は、呆然としていた。

・・・離婚?出会ったばかりの奥さんと・・・?
世界の、終わり。
始まったばかりの僕の新たな世界が、終わった・・・。

いや、これで終わるのか?自分は。

「あなたはここにサインだけしてくれれば・・」
「待って!待ってくれ!」
「私は十分過ぎるほど待ったわよ」

奥さんは、小さな子どもに言い聞かせるように優しく、そしてしみじみとした口調で「僕」に言った。
だからこそ、奥さんの言葉には実感がこもっていて・・・さっき「約束してたとおり」と、奥さん言ってたもんな。

でも僕は、その「約束」に逆らいたかった。抗いたいと思った。
だって、奥さんが離婚を約束した人は「りげんさん」だし・・・そんな“理屈”は奥さんに通用しないと分かっているけど、それでも「僕自身」は、奥さんと離婚したくなかった。

奥さんのことを何も分かっていないまま別れたくない!
それに、奥さんに僕のことを何も分かってもらえないまま、僕はこの人と・・・別れたくない。

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