極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~
ルームサービス
  


「はい」

 部屋の奥から返事があった。
 みのりの鼓動が一気に速くなる。

 シャンパンとグラスを乗せたトレーを落とさないように姿勢を正した。

「あとでスイートに来てくれ」そう言われてすっかり動揺していたが、それはルームサービスのことだった。

 冷静になればわかることだ。
 何勘違いしていたんだろう。

 憧れていた男性と再会、そして部屋に誘われたなんて。
 一瞬でも思ってしまった自分が恥ずかしい。

 大きく深呼吸したとき、ゆっくりと扉が開いて紘平が顔を出した。

「お待たせしました。シャンパンお持ちしました」
「ありがとう、待ってた」

 待ってたのはあくまでシャンパンだろうけれど、その言葉と笑顔に動揺してしまう。

「テーブルによろしいですか」
「ああ、ついでに注いでいってもらえると嬉しい」

 スイートルームの中央に置かれたガラステーブルの上に、シャンパンクーラーとグラスを置く。

 栓を開くまでの間の沈黙に、みのりは緊張していた。

「サマになってるな」
「そ……そうですか?」
「大学時代の後輩にシャンパン注いでもらってるなんて、ちょっと面白い展開だ」

 ゆったりとソファに寛いだ紘平は、シャツの袖のボタンを外しリラックスした態勢でいった。

 金色のシャンパンを注ぐと、グラスの中で細かい泡が躍る。


 こんな状況はほんとうに想像していなかった。
 スイートルームに、憧れの紘平と2人きり。
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