見た目通りには行かない
番外編

彼女の兄




「おー!和也!久しぶり!」



二人の姿を見付けて空いてる席に座った


「生一つ」そう注文すると「あいよ」と威勢のいい掛け声が返ってくる
男同士となれば格好の場所
粋のいい親父に旨い酒と肴

でも、七瀬は連れてこれねぇな
こんな男ばっかりの所になんて
きっと、男の目線を独り占めするだろう彼女にほんの少し苛立った


「お前、来て早々なに苛立ってんの?」


勝手に苛立った俺に目敏く気付いた光輝が面白そうに聞いてくる
俺は敢えて返事はせずちらっと俺と光輝の間に座る男を見た


いつもは月一は必ず飲みに行ってたが、お互いの仕事が忙しく会うのは3ヶ月ぶりくらいだ


相変わらずのいい男


俺と尊と光輝は大学で知り合った
クールな尊と人当たりのいい光輝
不思議な関係ではあった二人は常に大学でも有名だった
尊が有名だったのはその容姿だけではないと知ったのは2ヶ月程経った時だった



正木組



地元ならいや、日本にいてその名前を知らないやつは少ないだろう
所謂、やくざだ
正木組は正統派だとは聞いているがそれでも世間一般的にはやくざにちがいない
尊はその正木組の若頭
次期、組長でもあった

そうなると、最初はキャーキャー言ってた女たちも掌返したみたいに散って行って派手な女たちが残っていた
男二人が派手な女たちに囲まれている
今思い出しても異様な光景だな

別に講義も別で接点はなかったから俺はそんなに気にしていなかった





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