誰かがどこかで救われる
闘い


杏珠との距離が遠くなる。

話はしている。
「おはよー」とか……「おはよー」とか「おはよう」……とか。

会話じゃなくて挨拶か。

休み時間も離れていて
杏珠は近くの人と話をしたり
ひとり本を読んでいた。

私の席には来ない
私も杏珠の席に行かない。
移動教室も一緒に行かない。

「ケンカした?」中原君が心配して聞くけれど、私は小さく首を横に振る。

私も休み時間は本を読んで静かに過ごす。
ほどんど頭に入ってないけれど。

「捨てられたんだねー」って
実花が笑ってみんなの前で言うけれど無視。

たまに実花が教室に居ない時
萌ちゃんと武田さんと一緒に過ごす。

杏珠は変わらない

凛としている。
弱った姿を見せていない
いつもと変わりないけれど

心のどこかで
泣いてる気がする。






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