私たちは大人になった
その1 自由になる

友人の一人が、長年付き合っていた彼氏と別れて半年後に付き合い始めた恋人と交際半年で結婚した。
俗に言う、スピード婚だ。
仲間内では、普通電車から快速電車への乗り換えなんて、揶揄されているけれど。
二次会用のミモレ丈のドレスに身を包んだ彼女は、とっても幸せそうだ。

幸せを掴むために大切なのはタイミングなのだと、つくづく思う。


「いや~、まさか碧(あおい)が安川(やすかわ)君以外の人と結婚するとはね」
「磯村(いそむら)、傷心の俺を少しはいたわれよ」
「七年も連れ添った可愛い彼女がいるのに浮気したバカを慰める必要なくない?」
「ひでえな」
「ひでえことしたのはどっちだよ」
「…俺だな」
「わかってんなら、許してやらなくもないぞ、安川」
「分かってるよ、今日だって大人しくアイツの幸せを祝ってやろうと思って来たんだから」

大学時代からの友達である碧の披露宴に出席した後、二次会で暫くぶりに大学のサークルメンバーと顔を合わせた。
碧も、さっきから私の隣で碧の姿を見つめながらやけ酒をする安川君もその一人だ。そして、つい一年前まで、碧と付き合っていたのは彼だった。逃した魚は大きかったと気づいても、もう遅い。

「浮気した彼女とは?」
「そんなのすぐに別れたに決まってるだろ」
「どうして?」
「何を取っても碧の方がよかったから」
「じゃあなんで浮気したのよ?」
「魔が差した…」
「男って本当にバカね」

碧以上にいい女なんていないと嘆く安川君に呆れながら、男と女の違いを痛感する。

男は過去の恋愛をフォルダに分けて保存するのに対して、女は上書き保存をする。
よく言われていることだが、本当にその通りだと思う。
私の周りで過去の恋愛を引きずっているのは、男ばかりだ。
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