オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
嫉妬は恋のバロメーター?
だが考えたところでどうにかなるわけでもない。

ここはもう諦めて家に帰って寝よう。

そう思い立ち上がった時だったバッグの中のスマホから着信音が鳴った。

急いで取り出そうとするも焦っているから中々見つからない。

「あれ?……あれ?」

しかもこういう時に限って普段は入れないポケットの中に入っていたりするのだ。

「もう、なんでこんなところに入れてるのよ私は〜」

スマホを確認すると浩太郎さんだった。

私は一度大きく深呼吸をして電話に出た。

「もしもし」

『俺だけど……もしかしてまだ会社か?』

「は、はい」

ドキドキしすぎて返事しかできない。

『今日はノー残業デーだったんじゃないのか?今すぐ下へ降りて来い』

「は、はい」

私は電話を切ると、急いで1階へと向かった。

運悪く、エレベーターは行ってしまったあと、次を待つ時間すらもったいなくて私は階段を使っておりた。

息を切らし1階に着くと浩太郎さんはすでに1階で待っていた。

「すみません……遅れてしまって……」

「そんなに慌てて……もしかしてそんなに俺に会いたかったのか?」

きっと浩太郎さんは冗談のつもりで言ったのかもしれないが、実際のところその通りで私は少しでも早く浩太郎さんに会いたかった。

「はい」

まだ呼吸が荒く、返事しかできなかったがそれを聞いた浩太郎さんの頰がほんのり赤くなって言いた。

「い、行くぞ」

「は、はい」

私は外で待っている浩太郎さんの車に乗った。

そして浩太郎さんのマンションへと向かった。
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