ロマンスがありあまる
第8章・専務を好きになったかも知れません。
待ちに待った、お盆休みになった。

私は先ほどデパ地下で買ってきた手土産を片手に、実家に帰った。

実家に帰るのは、5月の連休以来である。

「ただいまー」

実家のドアを開けて声をかけたら、
「お帰り、お姉ちゃん!」

真っ先に迎えてくれたのは、10歳下の妹の紫子だった。

「ただいま、紫子。

はい、お土産」

私が紙袋を渡すと、
「わーっ、ありがとう!」

紫子は嬉しそうにお礼を言った。

リビングに顔を出すと、ソファーに座ってテレビを見ている父がいた。

「お父さん、ただいま」

そんな父の背中に向かって声をかけると、
「お帰り、楓子」

父は私の方を振り返ると、返事をしてくれた。

元気そうでよかったと、私は思った。
< 79 / 107 >

この作品をシェア

pagetop