カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

気になる過去

『恋を始めてくれないか?』


慈英の甘い囁きに落ちていた。

正直、嫌ではない自分がいたのだ。

カフェでの話し方や接し方、私をリードしてくれる大人の慈英に絆されていく自分がいた。

お互いに知らない事だらけだが、それでも慈英との付き合いを断る理由もなかった。

だから私は優しく接してくれる慈英と初めての恋愛を始めようと思った。


「雨宮さん、これ、岬さんのテーブルに。」

「あっ、はい。」


今日も慈英はカフェに来ていた。

珍しく一人ではない。

綺麗な女性と一緒に来ている。


「お待たせしました。」

「心菜、ありがとう。」


慈英がお礼を言ってくれる。

前に座る女性の視線が突き刺さり凄く痛いのだが知らないふりをする。

テーブルにコーヒーとミルクティを置く。


「へぇー、彼女が。」


その言葉に視線を上げて、綺麗な女性を見つめた。

本当に綺麗な人だ。

慈英と並べば、美男美女のカップルにも見える。
< 27 / 216 >

この作品をシェア

pagetop