エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
最悪な出来事です?
「不運だったね、小松さん。でも、これからのことは心配しなくていいから」

「はい……」

直属の上司である杉山課長が、ベッドで横になるしかない私に同情的に言った。

「これは完全に労災だ。会社からささやかではあるが、お見舞いとして特別室を用意してもらった。どうかな?」

「とても、ありがたく思います。ありがとうございます……」

「それなら良かった。焦らず、ゆっくり治しておいで。それじゃあ、僕は帰るから」

「本当にありがとうございました。皆さまにも、よろしくお伝えください」

課長は笑みを見せてから、部屋を出ていった。と同時に、私は深いため息をつく。

お見舞いにと、持ってきてくれた色とりどりの花束は、ガラスの花瓶に生けられて、チェストの上に置かれている。

それを見つめながら、涙が溢れてきた。私はつい昨日、営業で取引先へ行く途中に事故に遭った。

信号待ちで停まっていた私の車に、脇見運転の車が突っ込んできたのだ。
< 1 / 248 >

この作品をシェア

pagetop