エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
先生でもヤキモチ妬くんですか?
先生と付き合うことになり、私は課長に報告をした。会社では、恋人から貰った指輪をはめている女子社員はいる。

社内恋愛をしている人も、取引先の人と付き合っている人もいる。そのたびに、上司に報告をする義務はない。

だけど、私は事故で入院をして迷惑をかけたこともあり、その先生と付き合うことになったことを話しておきたかった。

課長は、びっくりしていたけれど、辛い経験も良い方向に変わるなら結果オーライだと笑顔で言ってくれた。

ホッとしながら、普段と変わらず業務に就く。同じ一課の人たちから、予想どおり指輪のことを聞かれ、そのたびに説明をする。

もちろん、誰にも驚かれたけれど、知ってもらえてよかったかもしれない。隠しごとは、罪悪感を覚えるから。

「あっ、ごめんね。水が散っちゃった?」

昼休憩、会社の化粧室でメイク直しをしていると、他課の女子社員がこれみよがしに濡れた手を振っている。

彼女は綾子と同じ三課の女性社員で、上田さんだ。私より、二歳先輩の営業ウーマンだった。

今のは絶対にわざと……。でも、ここで彼女に文句を言ってもシラを切られるだけだろうし、気にしない振りをしよう。

「いえ、大丈夫です」
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