彼と愛のレベル上げ
私たちは夕方まで部屋でゆっくりしたあと、早めの夕食を取るために家を出た。


――次に会えるのはいつになるだろう?


きっとまた主任と別れた後にすぐに会いたくなるんだろうけど

でも今回はたくさん普段の休日の主任を見せてくれて、私は特別だと言ってくれた。

だから、寂しい気持ちも不安もきちんと閉じ込めておけるはず。


「モモといると時間が経つのが早いですね」


ほんとにその通り。
だって出張の二日よりも長い時間一緒にいるのに、もっと短かったような気がする。


「そう、ですね」

「でも今回だいぶチャージしましたから、しばらくは持ちそうです」


チャージ?
何を?どこに?


「しばらく持っちゃうんですか?」

「一週間ぐらいはもたせないと、それこそ閉じ込めかねませんからね」


ニヤリと笑い言う主任。
う。まさか本気とかってことはないよね?


「冗談ですよ、出張の報告書も書かないといけないですしね?モモ」

「あ、そう…でした」


すっかり忘れてた。
月曜に提出するようなことはないけど、部長には口頭で軽く報告ぐらいはしないといけないんだった。

ま、まずい。
鈴木さんとも打ち合わせして書かないと話が繋がんないかも。


「地区会議は無理ですけど、全体会議と勉強会のレポートの添削ぐらいはしてあげますよ?」

「あーそうしていただけると…」

「モモ、上の空でしたからねぇ?」


ば、ばれてる。
主任と並ぶ女の人に気を取られていてあんまりちゃんと聞いてなかった事見られてた?


「あの、それは」

「明日の夜にでも一度メールで送ってください。朝には返信しておきますから」

「でも、それじゃあ…」

「部長にもくれぐれもよろしくと言われてますから、いい加減なレポートを出されてもこちらとしても困りますから」


そうだった。
主任にも部長から直接連絡をいれたと言ってたんだ。

急に上司の顔になった主任がそんな事を言うから昔みたいに緊張してきた。


「明日の夜に送らせていただきますので、よろしくお願いします」


ほぼ90度に頭を下げた私を見ながら主任が笑いをこらえていたなんてことは知らなかった
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