彼と愛のレベル上げ
さすがに私がへこんでるのを気づいたお母さんが、


「今知らない事は事実だから仕方がないけれど、これから少しずつ堂地さんがご家族の事もお話してくれるといいわね?」


そうなんだ。
私って今まで周りの事とか気にかける余裕もなくて、いやほんと言ったら今でもそうなんだけど。

でもそれじゃダメなんだ。
これからは自分の事だけじゃなくて、周りの事も気づかないと私はきっと大人の女の人ってのになれないんだから。



約束の5分前にお婆様の家に到着。

表札を見れば確かに鈴木さんになってる。

たったこれだけの事なのに気付かないでそのまま家に入っちゃったなんて、私ってホント何にも見てないんだなぁ。


「いらっしゃい。お待ちしてました」

「今日はお世話になります。足手まといにならないように精いっぱいお手伝いさせていただきます」

「あら。桃華さんはお手伝いじゃなくてメインで作ってもらうのよ?ねー、凛子さん?」

「ええ、そうよ、桃華ちゃん。あなたが作るのを私たちがお手伝いするの」


ニコニコと微笑みながら言うお母さんと富貴子お婆様。

あれ?なんか話が違うぞ?


「あ、それと、桃華さん。私の事は富貴子さんって呼んで?なんかお婆様って急に老けたみたいで。ねぇ?凛子さん?」


え?
お母さんもうちのおばあちゃんと同じぐらいの年齢のお婆様と友達みたいになってるし。


「だって、ここでは女三人で楽しくお料理しましょうの会だもの。お婆様はないわよ」


まぁ、そうですけど、ね。
そうだけど、でも主任のお婆様には違いないわけで、やっぱりその辺はちゃんと……


「あぁ、純哉のことなんて気にしなくていいわよ?これは女同士仲良くしましょうって言うだけなんだから。だからもちろんここでの話は純哉には内緒にしておくわよ?」


そう言ってウインクをしたお婆様、もとい富貴子さん。ウインクなんて日本人でした人朔也さん以外で初めて見ましたよ?


その間にもお母さんと富貴子さんはエプロンが可愛いからどこで買ったのとかの話で盛り上がってる。

なんだかそれを見ていたら、主任のお婆様にあって一緒にお家でお料理するって緊張していた自分が間違ってたような気がしてきた。


「わかりました。富貴子さん。私、お料理全くできないのでビシビシご指導ください」

「うふふ、わかったわ桃華さん、いいえ、桃華ちゃん。一緒に色々お料理楽しみましょうね?」

「はい!」
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