彼と愛のレベル上げ
それから、何がもう少しなのかと問い詰めても素知らぬ顔。

しかもまるで聞いてもいない事まで聞いてきた。


「さて、明日は何をしましょうか?」


こうなったら、主任はもう絶対に教えてくれない。
今までも何度かチャレンジしてみたけど、一度だって口を割った事はない。

仕方なく主任のその問いかけに答える。


「じゃあ、主任のいつもの休日が見たいです」


私と一緒にいるときの主任は恥ずかしくなるぐらいに甘々か、意地悪なことを言うか。
どっちにしても困る私をニヤニヤして見てる。

仕事しているときの事を考えたら、どっちも信じがたいんだけど……
たまには普通の主任を眺めてみたいっていう私のワガママ。


「いつもの?そんなのつまらないだけですよ?」

「それでも、見たいんです」


つまらなくなんかない。
たとえば読書している主任をずっと見ていたい。
コーヒーを飲んでるのを見るだけでも見惚れるぐらいなんだから、それ以外ならもっと


「わかりました。では夜は好きにしてもいいですよね?モモ?」


夜って言いました?
しかも主任なんか楽しそうだし、

でもね、夜は寝るものですよ?

でも、私のワガママを聞いてもらうのだから主任の言う事だって聞いてあげないといけない。


「…わかりました」

「それと、主任と呼ぶ時間はもう終わりです。次にそう呼んだら、わかってますね?モモ?」



ニヤリとした瞬間の主任の顔なんて見なかった。

いや、断じて見てない。

だって主任がそんな顔をした後は……


「モモがそれを望むなら別にそう呼んでもいいですけどね?」


ほら、なんだか楽しそう。


「いえっ、あのっ、ジュンさんってちゃんと呼びますからっ」


私は叫ぶようにして答えた。


アヤノさん、主任が手出ししないなんてことは絶対に無理みたいです……。
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