ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間
火曜日の散歩

シェパードとコリー




体を大きく揺すられて、目が覚めた。
ビックリして跳ね起きた沙希の目の前でハチが笑っていた。  


「もぉっ そっと起こしてくれればいいじゃない」  


「いや、呼びかけても起きないからさ。
仕方ないだろ」  


「転部したばかりで疲れてるの。
覚える事多いし…昨日は接待だったし…」  


「接待? いきなり?
それでうなされてたのか?」  


「うなされてた?」  


「なんか、結構うなされてたぞ」  


冬とはいえ、寝汗をかいている。
まさか、うなされてたとは…

夢の内容は覚えてない。
が、たぶんブルだろう。

寝言を言ってないか不安になったが、ハチの反応で判断すればそれは無さそうだった。
でも、いくらハチが心配しようが、今の状況を言えるわけがない。  


「相当、疲れてるんだ、私…」  


「まだ月曜が終わったばかりだし…。
大変だろうけど、あんまり無理するなよ」  


「ありがと。
あ、修一も昨日は遅かったみたいね」  


「ああ、ちょっと仕事が溜まっててな。
あ、もしかしたら
今日と明日も遅くなるかもしれない」  


「そうなんだ。
修一こそあんまり根詰めて
体壊さないようにね」  


「ああ、過労死しない程度に頑張るよ」  


そう言って笑うハチの眼元にはクマができていた。
なのに、私より早起きして朝食を作ってくれている。

見上げた忠誠心。
こんなに優しい男、いや犬は他にはいない。

やはり、ハチとの間に亀裂が入るような事だけは避けなければならない。
ハチとの絆を胸に、疲れた体に喝を入れて会社へと向かった。



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