社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
そろそろドラマの続きを借りてきて見ようか?という話になり、次の土曜日はお部屋デートの予定…、だった。


9月の第2週の木曜日、あの人が掻き回しに来なければ順調に事が進むはずだった。


お部屋デートは台無しになり、約束していた土曜日の今日、私は1人で部屋にいる。


残暑厳しく、9月に入っても冷房が効いた部屋で無気力のまま、布団に寝転がり、涙目で過ごす。


どこにも行く気力なんてない。


誰とも会話したくない。


寂しさを紛らわせる為だけに流しているテレビの内容も音も、頭の中には響いてこない。


相良さんからも連絡も来ない。


泣き腫らした目が痛い。


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時は遡り、9月の第2週の木曜日。


いつも通りに私は受付カウンターに座って仕事をしていた。


「あの人、すっごい美人さんですね。でもビジネスではなさそうな…?」


遠くからでもハッキリ分かるくらい、スタイルが良く、顔立ちの綺麗な女性が受付カウンターを目指して歩いて来るのが分かった。


大人の女性らしい身体のラインが出るグレーのストライプのスーツに白のインナー、高めなヒールの音を鳴らし、私の前で止まった。


見上げると女優さんやモデルと言っても過言ではないくらいに、超絶な美人だった。
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