蜜月同棲~24時間独占されています~

初恋相手は、読めない

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同居生活がスタートして、最初はどうなることかと思ったけれど。
数日もすれば、それなりに1日のリズムも掴めてきた。


仕事の方もなんだか吹っ切れて、人の目も気にならなくなった。
さやかに少しずつ自分の仕事を引き継ぎ、その分手を取られて進捗の遅れている仕事を手伝いながら残りの日数を消化する。


新田さんと綾奈が今も居心地が悪そうなのは少し気にはなったけど、私が居なくなれば少しは風当たりもマシになるだろうと思う。
きっと、一緒に仕事をしていく上で穏便にしたいと思っている人も周囲にいるはずだ。ただ私がいるから気を使っている部分もきっとある。


そう思えば、たとえ理不尽だと感じる状況での退職もそれほど悪くはないと思えた。


一度、給湯室で新田さんと綾奈を見掛け、少しだけ立ち止まって見ていたことがある。
辛そうな彼女の背中を撫でる、かつての恋人の姿を見ても、痛みよりもただほっとした。


傷はある。
けれどもう、新田さんのことは吹っ切れた。
前を向こうと思える。


怒涛の環境変化の中で、支え、励ましてくれた人たちがいたおかげだろうと思う。


だから、会社帰りにスーパーに立ち寄って今日のセール品なんかを確認しながら、メニューを考える、そんな毎日に然程難なく慣れて来ていた。


昨日は会食で遅くなり、コース料理を食べてきたと言っていたから、今夜はあっさり和食にしておこう。
魚コーナーでカレイのパックを手に取って、カゴに入れた。



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