それでも、幸運の女神は微笑む
“落とし穴”は異世界に繋がっている

「ここはアグネシアという国だ」

私は昔っから、やけにツイていなかった。

道を歩けば鳥の糞が落ちてくるし、ボールを投げれば窓ガラスを割るし、おみくじはいつだって大凶だ。


そのせいか、色々やらかしたり巻き込まれたりすることは多かったんだけど。




今、これまでで一番のピンチに陥っている。






眼前に迫るは、牙をむき出しにして唸る肉食っぽい黒い毛の狼よりの大きな犬。

どんくらい大きいかって言うと、四足歩行なのに犬のお顔が立っている私の顔と同じ高さにあるくらい。

わ、私、身長158センチなんだけどっ・・・!


そして不幸なことに、私の背後は崖だ。

風がひゅおおおおおっと吹いている。

私が住んでるマンションの5階と同じくらいの高さかな・・・落ちたら終わる。



なんでこんなピンチなのかは、私が知りたい。


大学受験での自宅学習期間。

推薦で専門学校に受かっていた私は暇でぶらぶらと近所の公園に行ったら。

突然ぐらぐらっと地面が揺れて、よろけたらなぜかあいていた落とし穴に片足突っ込んでバランス崩して落っこちた。


反射的に目を閉じて。

そうしたら、どこからか誰かの泣き声が聞こえて。

目をあけたらなぜか崖のすぐそばに突っ立ってて。


ぽかーんとしてたら獣様が登場して今に至る。




ちょっと待ってどういうことだ!?





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