極上の愛をキミへ
人のことなんだから、放って置けよ。

そこにカランッと、店のドアが開く音が耳に届く。


「ほら、客だぞ」


テルはため息を1つ零し、俺の傍を離れる。


「テルくんも心配してるんだから、いい加減にしなよ?」


勝手に人の隣に腰を掛け、美沙が説教じみたことを言う。


「お前、いつから説教婆さんになったんだよ」

「婆さんって、失礼しちゃうわ!そんなんだと、一生結婚できないよ」


結婚ねぇ。

したいなんて、1度も・・・

あぁ、1度はあったなぁ。

癒えることのない傷が、ジワリと痛みだす。


「こんばんわ」


不意に声を掛けられ、振り返ると菅原と女が居た。


「将生くん。と、亜弥ちゃんだよね」


美沙の言葉に、将生の連れの女が頷く。

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