シンさんは愛妻家
「え?…」

じゃ…イブキは…

「私…女です。
先生…私が男の方が良かったですか?」

いや…

「…どっちでも…いいよ」

そう、どちらでも僕には関係ない。

拾った猫みたいな…『君』の性別がどちらでも…

どっちにしても同じ事をしていた…

…ずっと一緒に暮らすわけじゃないし…

そう、自分に言って何度も心の中でうなずいておく。



「先生…私…女です…」

と呟くように言ったイブキは
何故かポロッと涙を落とした。

「…いや、誤解して悪かった」

と謝りながら、
僕だけのせいじゃないけど…と心の中で呟く。

「…女の私はここにいちゃダメ?」

「そんな事ないよ。
ここにいて、ちゃんとタビィと暮らす準備をしなさい」

泣かれても困る。

「本当に?…ここにいてもいいの?」

「もちろん」

と頭にそっと手を置いて、猫のように撫でてみる。

イブキはグズグズと泣きながらなんとか笑顔を作っているのがわかる。



「さ、お風呂に入るとするか…
温まって、よく寝なさい。まだ、インフルエンザが治った訳じゃないんたから。…」

と僕が言うと、

「…はい」

と言って涙を拭いている。



素直なイブキは…けっこう可愛い


と思う自分に呆れる。




…ああ、やっぱり

けっこうメンドクサイ事になってるみたいだ。



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