真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
乱れたシーツの波をカーテン越しに浮き立たせる朝日に目を覚ました私達は、結ばれた夜を名残惜しむかのように、すっかり明るくなった寝室で暫く、じゃれ合ったあと、ようやく気怠く起き出して支度を始めた。

彼に先んじて素早く着替えた私は、未だ部屋着姿のまま洗面代でシェービングをしている彼と離れて一人キッチンへと向かった。

昨日も夕食作りに立ったこの場所は、相変わらず独身男性の一人暮らしには似つかわしくないほど機能的で広々としていて、600ℓの大容量の冷蔵庫が威風堂々と君臨している。

私は自分の背丈よりも高い冷蔵庫の扉を明けて朝食の材料を物色した。

仕切り扉が幾つもある、明らかに家庭用の冷蔵庫の中には、昨日私が彼のために作った夕食の残りが小分けにされて保存されている。

さすがに昨日の夕食の残りを出すのは御法度。彼と初めて結ばれた日の朝食が残りご飯じゃ......。

てゆうか、広務さん。朝はパン派かな?ご飯派かな?聞きそびれちゃった。今の今まで彼と離れずに、ずっと一緒にいて聞く時間は、たくさんあったのに。

でも、仕方がないよね。だって彼と一緒にいると”好き”以外の思考を忘れてしまうからーー。

「何か手伝えることはない?」

すぐそばで彼の声が聞こえてハッとした私は声がした右隣を振り返った。すると、そこにはシェービングを終えて髪も整えた今日もイケメンな私の彼が、少し困った顔で笑っていた。

「あっ......!広務さんっ。ごめんなさい、気が付かなかった。居たんだ......っ」

「ヒドイな(笑)3回くらい呼んだんだけど。優花、もしかしてまだ夢の中? ずっと冷蔵庫の中をボーッと覗き込んで」

うん。夢の中だった。

昨夜のベッドを思い出して、熱くなった頬を冷蔵庫の冷気で冷やしてたの。......なんて顔から火が出そうな事は、口が裂けても言えない。

「えっと......。広務さんは、朝はパン派か、ご飯派か昨日聞きそびれちゃったから、どっちを用意しようか迷ってたの」

「優花が作ってくれた朝ごはんなら、俺はどっちでも嬉しいよ。むしろ朝ごはんに優花を食べたいくらい。......どうせなら、ここで。二人で夢の中へ落ちてみる?」

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