真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

「婚約破棄」

玄関でハイヒールを乱雑に脱ぎ捨てると、スリッパも履かずに部屋にあがり、彼から贈られたばかりの婚約指輪を外してリビングのテーブルの上に置いた。

精巧なブリリアントカットが施された一級品の天然ダイヤモンドは、部屋の明かりを綺麗に反射して宝石の奥の奥まで透明な輝きをたたえていた。

純真無垢なダイヤモンドは永遠の愛を象徴する宝石ーー。

「永遠の愛、か......」

私はポツリと独り言をつぶやくと、パソコンの前に座り、ため息を漏らした。

その鬱々とした息の重さがのしかかったかのように、それまで美しい輝きを強く放っていたダイヤモンドリングが突然”コトンッ”と、実に簡素な音をきかせながら傾いた気がした。

気のせいか否か。私は答えを求めて、結婚相談所のホームページを開いた。

ーー成瀬 広務。31歳、身長181cm。血液型、A型。次男。職業、通関士。年収1000万......。

魅力的なデータとともに、端正で優しげな彼の笑顔がパソコンの画面を彩る。

女なら誰でも、申し込みをしたくなるハイスペックな男性。

実際に広務さんには途方もない数の女性から、お見合いの申し込みが殺到したことだろう。

その、広務さんが、生涯の伴侶に私を選んだ理由ーー。

真相は3ヶ月前に遡る......。

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