報告書
あの人は上司
「言いたいことは分かるな?」

トントントン

とても正確なビートに…怖さが増す
恐怖に顔が挙げられないで居たが…音が止んだので

「あ、あの…ダメ、です…か?」

恐る恐る俯いた顔を上げると……
そこにいた人が…見た人誰もがうっとりとしてしまうような美しい笑みを浮かべていた

(あんまり怒ってないのかな?)

だが、それは刹那で消え失せ
絶対零度の目に切り替わった

(ヒィィー!)

「ダメだとわざわざ言ってやる価値もない位……ダメだな、却下」

綺麗に揃えて返された提案書…仕方なく胸に抱えたけれど諦めきれずにもう一度聞く…

「本当に全部…駄目ですか?」

探るように課長を見ると…
呆れたように息を吐いてから彼が眼鏡のブリッジを人差し指で上げた

その指の長くて綺麗な様と切れ長の目にドキッとする

「じゃあ逆に聞くが…ソレで、済ますつもりか?君は」

スッと指を上げて私の胸元の提案書を指した

「え…」

フッと冷たいながらも小さな笑みを浮かべた課長が…
次の瞬間何やら声を出さずに唇を動かした

(え……)

何と言ったか読めずに焦っていると課長は眉間に指を充てた

「君こそもう一度その提案書を見るんだな…話はそれからだ…」

それきり下を向いた課長に見えてないだろうけれど頭を下げて席に戻ると提案書をデスクに置いた

(はぁ…駄目だったか…)

仕事にかこつけて告白なんて…だめよね…確かに

一息ついて再度提案書を見ると

(?)

何やらチェックされた文字がある…

『接…口……言……で…直…え…』

拾って並び替えたら…ハッと意味に気がついて
課長を見やる  

すると顎上げてこちらを見下ろすようにした課長が再び唇を動かした


『直接口で言え』

話はそれからだ……?

よし!今度こそと提案書を丁寧にやり直していたら
あっという間に定時なんて過ぎていて部署にもう誰もいなくなっていて課長の席も空だった…

(帰っちゃったか)

落胆していると…すぐ後ろから声が降る

「待ちくたびれた…で?何を提案してくれるんだ?」

艶やかに微笑む課長に私は思い切って思いを告げる

「好きです!私をプライベートでも貴方の傍に置くっていかがでしょうか?」

「…その提案書は前向きに検討しよう…」

課長は長い指で撫でるように私の手を握った

fin





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