Sweet break
Sweet break
『関さんって、明日います?』

まただ。
この質問をされる彼を見るのは、今日3度目。

その度に『休む予定はない』と抑揚のない声で答える関君。
明らかにうんざりしている。

入社後、同じ総務課に配属された彼は、仕事も優秀で見た目も◎。
なのに女性とは、仕事以外ほとんど会話しないクール男子。
そんな硬派なところが、何故か職場内の女子には密かな人気。

ちょうどカップが空になり席を立つ。
執務室の端にある給湯室に向かい、無人を確認すると小さな溜息をつく。

明日は2月14日。
きっと彼は、沢山のチョコをもらうのだろう。

カップに牛乳を入れレンジで温めて、少しだけ珈琲を注ぎ砂糖を入れてかき回す。

『それ、もはや珈琲じゃないよな』

驚いて振り返ると、カップ片手に関君。
いつからいたのだろう?
ついた溜息は聞かれてないよね?

動揺を悟られないように『カフェオレだって珈琲だよ』と笑顔で反論。

こちらの返答など興味がないのか、黙ってサーバーに向かい、珈琲を注ぐと執務に戻っていく。

同期だからといって会話が弾むわけじゃない。
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