イミテーションラブ
二人の気持ち
…気持ちが決まると清々しい。

昨日の悲しかった気分は消え去り、お弁当を持った自分は最強に思える。

いつものように出勤すると、英里奈先輩と会話を楽しんだり、広瀬さんから指導をうけつつ仕事をこなしていく。
忙しくしていると余計な事は考えなくて良い。
集中しているうちにお昼の時間になった。
一緒にランチにいく予定の英里奈先輩に話をつけようと、お弁当を持って先輩の席に会いにいく。
「英里奈先輩、今日から…当分弁当になります」
チラッと見せて弁当を入れた袋を見せると、おお〜と、先輩が弁当に反応する。
「頑張って作ってきたね〜、金欠?」
「ですね…すみませんがお昼は広瀬先輩と行ってきてもらっていいですか?」
「いいよいいよ」
簡単に返事を済ますと、英里奈先輩は広瀬さんと外出していった。
部屋に残った私はお弁当を袋から取り出して、机に並べた。
温かいスープは気持ちが癒される。
ほっこりして、お弁当を食べ終わってから少し休憩する。
食べた後は眠くなるから、目を閉じて寝不足の疲れを癒そうと机に伏せた。
意識が飛ぶようなまどろみの中、私の腕を揺する気配がした。
「…おい…」
遠くで声がしたような気がする。
「起きろよ…城山」
今度ははっきりと聞こえる。
「起きろ!」
キツイ言い方で揺さぶられて、やっと声の方を見た。
怒ったような表情をした田崎が私を見下ろしている。
「なあ、もしかして俺を避けてる?」
「………」
返事がないのは固定の意味だと悟ったのか、田崎の顔はさらにキツくなった。
「どういうつもりか知らねーけど、今日行くからそのつもりで!」
田崎の迫力に圧倒され、断るタイミングを失う。

…今日来たらはっきりさせよう

そう決断した。
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