あなたを知りたくて
 岬さんとは婚活パーティーで知りあった。
「よろしければ結婚前提でおつきあいしたいのですが」
 三度目のデートで切りだされ、驚きはしたものの悪い話ではないと思った。私は申し出を受けいれた。

 好きになるのに時間はかからなかったものの、不安要素もあった。
 デートは今日で八度目。岬さんは未だに私に触ってこない。

 きゃっと言ってよろけたら、岬さんは、
「失礼」
と静かに言い、歩調を緩やかにした。
 本当は手を繋いでほしかった。


「バレンタインにチョコをあげてもいい?」
 尋ねると、岬さんはしばらく目を瞬かせた。
「わかりました。時間を作ります」
 他人事みたいな態度。

 でもやきもきしてもはじまらない。
 私が岬さんを好きなんだから、ぶつかってみよう。
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