包み愛~あなたの胸で眠らせて~
ずっと、守る
しとしと静かな雨が降る中、紺色で縁に白い花柄模様がある傘をさして歩く。

先週1週間は広海くんの提案通りに毎日一緒に出勤し、業務のほとんどを広海くんか堀田くんとおこなった。広海くんの計らいで私を一人にしないためだった。

たまに二人が打合せ等で不在の時は、高橋さんが一緒にいてくれた。課長も課内の動向に注意をしてくれていて、何かと気にかけてくれた。

広海くんが課長に例の騒動で、私が派遣先を変わりたいと話していると相談した結果でもあった。同じ派遣社員の星野さんや小池さんも気にかけてくれていて、昼休みは彼女たちと過ごした。

私を一人にしないようにとみんなが守ってくれた。孤独になることを怖れたのだが、たくさんの人が守ってくれる状況に戸惑いながらも感謝する。

子供の時のような思いをしないで済んだことに心が救われた。

あの時は一人だったけど、今は一人ではない。そう強く感じた1週間で、休日の土日も心穏やかに過ごせた。

広海くんの部屋のソファに並んで座り、テレビをのんびり見た。自然に手を繋ぎ、時々広海くんの肩に頭を預けて、昔もこんなふうだったねと話す。
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