愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
6.奥さんを押し倒す方法



職場から帰る道は春めいていた。
ここ数日、気温はぐっと上がり、桜の蕾も膨らんでいる。今週末には東京も開花するそうだ。

夜桜見物に奥さんを誘って出かけたら、ちょっといいんじゃないか?
俺はつい頬を緩めて考える。
都内の名所は人が多そうだから、この近所を回ろう。ふたりで並んで桜を眺める。大人のデートだ。
また来年もその先もずっと、なんて約束をしながら歩くのだ。
すごく!夫婦っぽくないか!?

箱根旅行から5日、俺と雫は仲のいい夫婦に戻っていた。
いや、戻ったのではない。より親密になったのだ。
すれ違いを経て、俺たちは想いを伝え合い、深く深く愛し合う仲になったのだから。

……話を盛りすぎた。

『愛し合う仲』と確定したわけではない。
確かに雫は俺と仲良くしたいと言ってくれた。だが、それがイコール恋愛感情かと言われるとわからないところだ。縁あって夫婦になったから、という気遣いであることも否定できない。

しかし!未来はわからないじゃないか!

雫に他に男の影はない。夢中の対象は趣味のアニメと漫画だった。しかしそれだって二次元の話!
三次元、リアルな男は夫である俺しかいないのだ!

仲良くふたりで時を刻んで行けば雫の愛は俺に傾くに違いない。
< 109 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop