沈黙する記憶
行動
翌日。


あたしは昨日と同じ時間に目覚ましをセットし、早い時間から起きていた。


そして昨日裕斗を公園で話した内容を思い出す。


杏は夏男に連絡するより先に行方不明になっていた。


そう仮定すると、自然と当時の杏の行動範囲は狭くなる。


カラオケや映画館やショッピングモールではない。


杏の家から、夏男の家までのほんの少しの距離だ。


杏は最初から夏男が家にいる事を知っていた。


だから連絡を入れずに直接家に行き、話をするつもりだった。


そう考えてみると、杏は夏男の家に到着するまでの間に事件に巻き込まれたと言う事になって来るのだ。


あたしは起きてすぐスマホをチェックした。


今日も杏からの連絡は来ていない。


ため息とともにスマホを閉じて、手早く着替えをする。


今日は昼前から裕斗と会う約束をしているのだ。


杏が当日にとったかもしれない行動を予測し、実際に同じように行動してみよう。


そういう話になっているのだ。
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