秘密の会議は土曜日に

17 エピローグ

宗一郎さんへ

2018/4

私、田中理緒は宗一郎さんとの結婚に合意します。
愛しています。

理緒



* * *


最後の議事録は、あの日、宗一郎さんが眠ったあとにメールした。



でも、私たちはまだ籍を入れていない。プロジェクトが終わるまではエヴァーグリーンの人たちに秘密にしておきたかったから、宗一郎さんを何とか説得したのだ。


「わかったよ。交換条件として、その指輪はつけて出勤すること。」


だから、私たちの関係を知るのは会社では鴻上くんだけ。その鴻上くんとは、相変わらず一緒に忙しく働いている。


「上司の彼女って……なんか理緒が急に姐さんポジションになったみたいでムカつくなー。」


「いや、私も仕事では宗一郎さんに容赦なくこてんぱんにやられてるよ……。

高柳チェック、通る気がしないよ」


「だろ!?」



宗一郎さんには、プロジェクトが終わったら私は会社を辞めた方がいいと言われ、新しい仕事として子供向けのプログラミング教室を起業するように提案された。



「理緒にはそういうのがあってると思うよ。起業家って、理緒のように献身的な仕事を好む人に向いてるんだ。」


それなのに……。


事業プランを練って宗一郎さんに見せると、容赦のない指摘が飛んでくる。



「子供向けと言うけど、ターゲットは具体的にどの層なんだ?価格設定もぼやけてるし、採算性が考えられてないな。

もう一度、見直して」


「……ううう。

そもそも私が社長というのが変なのでは……?」


「いや、理緒は独創性があるし社長に向いてるよ。逆にマネジメントは苦手だから俺が補佐してるんだ。

起業したら、俺を雇えるくらいの事業規模にしてくれ。」


「ええっ!?」


からっとした表情で無理難題を言う宗一郎さんに、「やっぱり、噂どおりの鬼だ!」と心の中だけで呟いた。



Fin.
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