食事のあと、閣下はご丁寧にも私を車で自宅まで送り届けて下さった。


「このまま泊まっても構いませんけど、それだと田中さんの疲れが取れませんよね。ご自宅に送りますよ。」


と車の鍵を取り出した時には、勿論慌てて止めたんだけど。


「私などが閣下のお部屋に居座るなど、おこがましいことはできませんので即刻退出いたします。

近所ですから歩いて帰れますので、御気遣い無用にございます。

ですがっ!帰る前にお食事代、および光熱費をお支払いさせてくださいっ。」


「何言ってんですか。こんな時間に一人で出歩くとか不用心にも程があるでしょう。

それに金払うとか意味がわからないから。」


閣下は私の鞄を持って有無を言わさず歩いて行くのですごすごとついて行くしかなく、車に乗ると数分で自宅に到着する。


「それではまた火曜日に。帰り道、気をつけて下さい。」


帰り道といってもアパートの前から自分の部屋までの距離しかないのに、閣下はそう言ってすぐに車を走らせた。



「皇帝閣下って実は全然鬼畜じゃなかったね。むしろ優し過ぎるくらいだよね」


自宅に戻った私はベッドにダイブして愛猫のりっくんに話しかける。りっくんは私に無理矢理抱きつかれたので迷惑そうに鼻を鳴らした。


着替えにお借りしたワイシャツは汚さないようにハンガーにかけておいたので、ベッドから見上げるとワイシャツがやたらと神々しい。


そのせいか、体は睡眠を欲している筈なのにその夜はなかなか寝付かれなかった。